電気通信主任技術者 専門的能力:無線
過去問:令和元年 第2回 問5(1)
※日本データ通信協会 試験問題より引用
解答:
静止衛星の軌道は、赤道上空一周360度と限定されており、また、静止衛星が
通信に使用できる周波数も限定されているため、これらの有限な資源を有効に
利用するための技術が求められる。具体的には、アンテナの「放射特性」の改善、
衛星位置の「保持精度」の向上、高能率な通信方式の適用などが挙げられる。
地球局アンテナの「放射特性」を改善することは、隣接衛星システム間干渉
においてアップリンクでは与える干渉を軽減し、ダウンリンクでは受ける干渉を
軽減する効果がある。具体的には、反射鏡の周辺照射レベルを下げる、鏡面精度
を向上させる、ブロッキングを小さくするなどの対策が有効である。
静止衛星でも地球の重力分布の不規則性や「太陽光輻射」の影響などにより、
与えられた軌道上の位置から移動するため、衛星位置の「保持精度」の向上が
求められる。つまり、衛星の位置が隣接衛星との間隔を縮める方向に動くと、
隣接衛星システム間干渉を増加させることになる。このため、無線通信規則では
衛星位置の「保持精度」を規定している。
高能率な通信を行うために、CDMA、TDMAなどの多元接続が用いられており、
CDMAでは個々の通信路に固有の「符号」を割り当て、この「符号」で搬送路に
変調を加えることにより通信路を分割している。