「伝送交換設備及び設備管理」の問4(3)では基本的に計算問題が出てきます。
log(対数計算)が出てきたことで、中にはアレルギーを起こす人がいるかも
しれませんがちょっと待って下さい。
基盤の信頼性に関する問題は出題率も高く、数値を少し変えただけの場合が
ほとんどなので、計算手順をド忘れしてしまっても流れを覚えているだけで
答えがなんとなく分かってしまうこともあります。
logとは何か?から解説していきますので、最後までご覧下さい。
電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理
過去問:令和元年 第2回 問4(3)
※日本データ通信協会 試験問題より引用
(3)次の文章は、基板の信頼性について述べたものである。
「 」内の(キ)、(ク)に最も適したものを、下記の解答群から選び、
その番号を記せ。ただし、基板は偶発故障期間にあり、メモリ素子個々の
故障率は同一値とし、log e0.99=-0.01、e^-0.1=0.9とする。
10,000個のメモリ素子を組み込んだ基板の使用開始後50時間における信頼度が
0.99であるとき、メモリ素子1個当たりの故障率は、「キ」FITである。また、この
基板の使用開始後500時間以内に故障する確率は、「ク」%である
<(キ)、(ク)の解答群>
① 2x10^-8 ② 1.98x10^-6 ③ 2x10^-4 ④ 5
⑤ 10 ⑥ 20 ⑦ 50 ⑧ 80
⑨ 90 ⑩ 1.98x10^3 ⑪ 2x10^5
解説:
log(対数)について簡単に説明すると、指数の表し方を逆にして何乗して
いるかを表したものとなります。分かりにくいですよね。
例を記載します。
100 = 10^2 これを対数で表すと、log10 100=2
10を何乗すると100になるかを表しています。
普段生活しているとなじみは無いですし、高校時代も何のために勉強している
かも分からずテストに出されたことでしょう。
対数は、膨大な数値を簡単に表すことができる便利なものなんです。
もう一つ、FITについても解説します。
FITとは、故障率を表す際の単位の一つで、稼働10億時間あたりの平均故障回数
を表しています。
1 FIT = 10^-9 時間
eについては円周率πと同様の無理数となりますが、ここでの説明は割愛させて
頂きます。
解答:
キ = ⑥、ク = ⑤
前提として押さえておくべき点に以下のものがあります。
① 信頼度 = e^(-故障率 x 時間)
② 信頼度 = 1 - 故障率
解説の対数計算より、
③ log e e = 1 であることが分かります。
※累乗が1である場合、eが同じ数値となるため。
問題文より、①へ数値をあてはめると
0.99 = e^(-故障率 x 50)
両辺の自然対数をとる
log e 0.99 = log e e(-故障率 x 50)
log e 0.99 = -0.01であり、③の式が成り立つため
-0.01 = -故障率 x 50
④ 故障率 = 0.0002 = 2 x 10^-4
基板は10,000個のメモリ素子を組み込んでいるため、メモリ素子1個の故障率は
2 x 10^-4 x(1/10,000)= 2 x 10^-8
ただし、解答はFITで表すため「キ」の解答。
2 x 10^-8 = 20 x 10^-9 = 20 FIT となる。
この基板の使用開始後500時間以内に故障する確率は、①と④の式より
信頼度 = e^(2 x 10^-4 x 500)= e^-0.1
問題文より、e^-0.1=0.9が成り立つため、②式へあてはめる
故障する確率 = 1 - 0.9 = 0.1
%で表すと「ク」の解答、10% となる。
※平成26年度 第2回試験では数値を変えた、同じ構成の問題が出題されました。
平成29年度 第2回試験でも数値を変えた、同じ構成の問題が出題されました。